悩み・相談

言葉というものは、いとも簡単に人間を変えてしまう

あまり思い出したくない事なのですが、私は5年前、自殺を考えていました。

当時、私は接客業をしていました。

経験のある方ならわかると思いますが、お客様には本当に色んな方が居ます。

気さくだったり、自慢話が多かったり、小心者だったり。

私の心を破壊したのは、そんなお客様の中の1人です。

後でわかったのですが、彼は酔っ払っていたようです。

驚くほどいきなり、私を罵倒し始めたのです。

おそらく誰でも良かったのだと思います。たまたま居合わせたのが私だっただけで。

私の容姿、返す言葉、すべてに因縁をつけネチネチと罵られること2時間。

「こういう人も居る。仕事だから我慢しよう」と思っていた私もさすがに耐えられませんでした。

私はそれまで図太く生きてきたように思いますが、完全に自信喪失しました。

「もしかしたら彼の言う通り、私の存在は人を不快にさせているのではないか」

「皆、言えないだけで彼と同じ事を思ってるのだろう」

今まで考えもしなかった事が次々と頭を駆け巡りました。

その場は上司が丸く収めてくれましたが、私の心は晴れないままでした。

疑念が募り、まともに仕事が出来なくなり間もなく退社しました。

それからは酷い有り様でした。

半ひきこもり状態です。とにかく人と会うのが怖かったのです。

単に私のメンタルが弱かったのか、今までが恵まれていただけなのか……わかりません。

多分両方あると思います。それに加え彼の言葉があまりにも心無かったのでしょう。

家族にも言えませんでした。私がどんな事を言われたか知ったら、私より傷つくと思ったからです。

学校でのいじめに似たような感覚かもしれません。今でも詳細は話していません。

ただ、1人の友人にだけは打ち明けました。

彼女が居た事が私にとって唯一の救いでした。

私が如何に価値のある人間か、そして如何に皆が私を必要としているか、説いてくれたのです。

私が「もう死ぬ」と言った時も「お願いだからやめて!」と必死に止めてくれました。

とは言え、私の心の傷はそんなに浅いものではなく……完全に立ち直る事は出来ませんでした。

1年ほど経った時、さすがに働かなくてはと思い、バイトを始めました。

誰も私を知らない遠くの地で、人と接しなくて良い職場。県外の食品加工工場です。

食品工場だと制服に帽子にマスクは必須です。機械音がうるさく、人との会話も少ないので最高だと思いました。

しかし意外にも、仕事に慣れてきた頃に同じ部署の女性と少し話すようになりました。

なぜだか私と仲良くしてくれて、食事や通勤を共にする仲に。

そして毎日のように、「せっかく可愛い顔なんだから、笑顔が似合うよ」とも言ってくれました。

彼女のおかげで少しずつ自信を取り戻していき、私は積極的に職場の人に話しかけるようになります。

今まで「私の事嫌ってるんだろうな」と思っていた先輩は飲み会やカラオケに誘ってもくれました。

フィルターをかけているのは自分だったんだと、その時に気づきました。

彼女と同じ時期に私はバイトを辞め、今はまた、接客業をしています。

確かに辛い事もあります。嫌なお客様も珍しくはないです。

ただ、この件で色々と自分や他人に対しての考え方も変わりました。

当時を振り返ると、私は謙虚さを知らない人間でした。

傲慢で、どこかで他人を見下していて……自信過剰だったと思います。

あそこまで酷く言われる筋合いはなかったのでしょうが、私には必要な経験でした。

今、私の人生で最も重要なのは『あの時の私を、私の手で作らない事』です。

言葉は人を殺します。消しゴムで消せるわけでもありません。

私を傷つけた彼は今でも変わらない、あのままの彼かもしれません。

でも私は変わりました。絶対に彼のように人を傷つけない。そう誓っています。

先日、友人が食事をしながらふと言いました。

「今だから言うけど、あの時って目が死んでてさ……私、もうこの子ダメかもって思っちゃった」

でも輝きが戻って良かった、と付け加えて。

自覚がなかっただけに、驚くやら嬉しいやらでした。

言葉は人を殺す……でも人を救うのもまた言葉であると、私は思います。

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