恋愛

恋愛が沸点を超える時、何故、複数の要因が絡み合うのか、不思議です。

私と彼女は二十代の時から仕事仲間として知り合いでした。
私の第一印象は、体は小さいのに妙にセクシーだという事です。
まだ二十代です。服はいつも黒のスーツで必ずスカートです。大学生時代はパンツルック以外着たことがなかったそうです。
社会人になってからは、引っ越しもスカートでやった事が彼女の自慢でした。何しろちょっと奇妙で魅力のある女性でした。
彼女は結婚して一年で別れました。
私も結婚はしましたが、まだ別れていません。浮気は何度か?です。
仕事が同じ業界でしたから、たまに会う事はありました。でも、本当に軽く挨拶をする程度でした。
そんなある日、二人は友人の結婚式に招待されました。
同じテーブルでした。久しぶりに彼女と話して、彼女の女性としての魅力に驚きました。素晴らしく素敵な女性に成長していました。 
二次会も二人で参加しました。もう、青春は終わった年齢ですから、結婚式の後という余韻もあって、昔話で盛り上がりました。
その夜は彼女の部屋に行ったのですが、何事も無く終わりました。
その日を境に度々会う機会が増えていきます。
日本は大変な時代に突入していました。大震災、原発問題、政権交代、世界はテロと宗教対立、どこで戦争が起きてもおかしくない状況になったと思います。9.11のヴィンラディンも殺されました。
このような、あらゆる問題は少なからず人間の心、精神に影響を与えます。
何か頭の中で起こりそうな予感に包まれる感覚です。
不安という言葉が一番合っているかも知れません。これは私も彼女も同じ事を考えていました。
二人で未来に対して不安を持っていたのです。
彼女と初めてのデート。
早川義夫というかなり年齢的には上の歌手のコンサートに誘いました。彼の歌は全部「愛」の歌と言ってもいいくらい素晴らしい歌が聞けました。二人で感動しました。
それ以上に、お互いの男と女の関係を意識してしまったという事です。
世の中の出来事に流されていた二人が、ひとりの歌手の歌によって心の中の何かが動き出してしまったのです。
彼女の部屋で抱き合いました。私はすべてを忘れて彼女を抱擁しました。
暫く二人だけの秘密に溺れて、世界の中心にいる気分でした。
こんな事が続く事はありません。でも愛は続いています。
彼女の父親が亡くなりました。精神病院でした。私が胃潰瘍で吐血と下血で入院しました。共通の友人が狭心症で亡くなりました。
自分たちの行動に天罰が落ちたとは思いませんでしたが、何かが周りで悪い方向に舵をきったと思いました。
私は家族もありましたから、段々彼女から離れる事を考えたかも知れません。自分で自分の気持ちが分からない時期に入ったようです。
彼女も私を避けるようになりました。男性と歩いている姿を何度も見ました。まだ彼女を愛している事を認識しました。
世の中で起きた事、身近な問題。これらが私たちに何らかの影響を与えたのは確かです。愛だけでは乗り越えられない何かがありました。
どんどん二人の距離は離れていきます。愛し合ってるのに近づけないのです。会えば相手を壊してしまいそうでした。二人の神経は尖っています。傷つけ合ってしまうのです。
彼女は田舎に帰りました。私は家庭に戻りました。
暫くして、彼女から「結婚しました」という手紙を貰いました。それには幸せそうな彼女と、精神病院を入退院している現実が書かれてありました。新しいご主人が彼女を助けているそうです。
私は頭を叩かれた気分でした。ショックと祝福と自分の情けなさに落ち込みました。
そして年が明けました。私は彼女に、幸せにね、と年賀状を書きました。
その一週間後です。彼女のお母さんから電話を貰いました。
彼女が心臓発作で亡くなったと言うのです。あなたにだけは連絡しないといけないと思いまして、と言いました。
放心状態がしばらく続きました。誰にも相談出来ません。誰かに話したくても話せません。ただただ辛いだけでした。
自分を責めました。責任は私にある。私が何を考えても、もう彼女はいないのです。いや、随分前から彼女は私の心と目の前にいないのです。
残ったのは想い出。悲しい思い出だけです。
大切にしようと思います。
申し訳ありません。何も解決しませんでした。
こんな馬鹿も世の中にはいるんだ、と思って、恋愛の参考にしていただければ幸いです。

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